──加藤監督が演技経験のないゆらのさんを今作の主演に抜擢した理由を聞かせてください。
加藤 ゆらのちゃんが「おんなのこきらい」を観てくれて、本編に出てくる、ふぇのたすの曲のダンス動画をSNSに載せていたのがきっかけですね。それで今回MICOちゃんとスピンオフの打ち合わせをしていたときに、ゆらのちゃんの名前が挙がって。
──ゆらのさんは主演の話を聞いたときはどう思いましたか?
ゆらの ものすごくうれしかったです。「おんなのこきらい」は一番好きな映画で、DVDが発売されてすぐに買ったぐらい。今回スピンオフの話があるって聞いて、「絶対やりたい!」ってスタッフさんに伝えました。で、加藤監督やMICOちゃんとの面接に行ったら、そのときすでに主演で出させてもらうことが決まっていて……(笑)。私はそこでがんばれば出られると思って気合いを入れていったから、びっくりしました。
MICO ゆらのちゃん、「え、決まってるんですか?」って驚いてたもんね(笑)。私たちとしてはスケジュールの確認をする日のつもりだったんだけど。
──ゆらのさんは本格的な演技は今回が初めてだと聞きました。
ゆらの 映像作品はミュージックビデオしか出たことがなかったのに、次のステップが短編とはいえ映画の主演なんて、プレッシャーがありましたね。しかもしゃべることができない女の子という難しい役柄だったので、本当にできるかなと不安もありました。
──2日間で撮影が完了したと聞きましたが、現場の雰囲気はどうでしたか?
ゆらの すごく楽しかったです。でも、あの2日間は雨との戦いでしたよね。
MICO うん。「やんだから今だー!」みたいな感じで外のシーンを撮ったりして(笑)。
加藤 大変だったよね。でも奇跡的に雨のシーンがない映画になりました。
──ゆらのさんは演技で難しかったところは?
ゆらの 自分は全力で演技していても、あとで映像を見てみたら全然伝わらないんだなあと思いました。セリフがない分、仕草や体の動きで感情を表現しないといけないのがやっぱり難しかったです。
加藤 映像を編集しながら「ゆらのちゃん、この役にハマってるなあ」と思ったよ。先にざっくりした物語は決まっていたけど、脚本はゆらのちゃんありきで書き下ろしたこともあって、本当にハマり役だったと思う。
ゆらの 本当ですか? よかったあ。今考えるとセリフがあるほうが難しかったのかなって思ったりもします。ゆらの、今は標準語だけど、もともとは関西弁を使っていたからイントネーションとかも気を付けなきゃなとか。これをきっかけに演技のお仕事もできたらいいなって思うんですけど、そのときはセリフと演技の両方を覚えることになるから大変だなって。
MICO ゆらのちゃんの演技、すごく自然だったよ。
ゆらの いやいや、そんなことないですよ。でも映画の中で、「おんなのこきらい」であった“あのシーン”をやれたのはうれしかったですね。
MICO “あのシーン”ね。それは観てからのお楽しみだけど。
──MICOさんが働くカフェもまた登場しますね。
加藤 MICOちゃんはあのお店の妖精っていう設定なんですよ。
MICO その設定前からあるみたいだけど、全然わかってもらえてないよね……(笑)。でも今回はスモークを炊きまくって、かなり架空の場所感が出せたと思う。
加藤 やっぱり浸透してないかな?(笑) 何かに迷った人があの店に迷い込んで、MICOちゃんっていう妖精に出会うという設定なんですよ。
──この作品はどんな人に観てもらいたいですか?
ゆらの 「おんなのこきらい」は女の子向けな感じがしたんですけど、今回は女の子も男の子も楽しめる作品になった気がします。併映されるから両方楽しめるんですよね?
加藤 そうそう。「おんなのこきらい」のあとに「あのこの話をすこしだけ」が上映されるの。
ゆらの 「おんなのこきらい」はグサッと来るセリフとか多いじゃないですか。だから「おんなのこきらい」でグサッと来て、「あのこの話をすこしだけ」でキュンとして帰ってほしい(笑)。
MICO 「あのこの話をすこしだけ」はキュンとするポイントが多いよね。私は女の子同士で観に行って、お茶をしながらキュンキュンポイントを共有してほしいなって思います。