──原作となる小説もSABU監督書き下ろしですが、人間の運命を天界の脚本家が決めているというアイデアはどこから生まれたんでしょうか?
このところ偶然が重なる出来事があって、そのときに何かに導かれているような感覚を覚えたんですね。誰かが引き合わせてくれているのかなと。逆に、この人とは絶対に合わないと感じたりするのも、自分の背後にいる誰かがケンカしたことでもあるのかなと思ったりもするので、その感覚を物語にしました。
──SABU監督といえば、走るシーンが有名ですが、「天の茶助」でも茶助が疾走する場面がたくさんありますね。
自分以上に、スタッフが「監督の過去の作品には絶対負けない」と意気込んでしまうんですよ(笑)。気合いがすごかったです。松山(ケンイチ)くんも「うさぎドロップ」で仕事して、走るのが速いと知っていたので、今回も全力で走ってもらいました。
──そもそもなぜ走るシーンを入れるんでしょう?
走るシーンが好きなんですよ。それと、走っているとつらいじゃないですか。それを映像に収めたい。見せかけの芝居じゃなく、本当に一生懸命やっている姿は心を打ちますからね。ただ、走るシーンは撮るのも難しいし、役者さんが怪我しても困るから、好きで撮っているのに早く終わらせたくもあるんですよ。一番緊張しますね。
──松山ケンイチさんを再起用した理由は何でしょうか?
松山くんは幅広い役柄ができる俳優だと思っていたからです。今回はウエイターや暴走族などいろんな役柄を演じることになりますから。それと、松山くんがヤクザを演じるのも見たことがなかったのでやってもらおうと思いました。
──ほかのキャストも個性豊かですね。
大野(いと)さんは、透明感があってすごくいいなと思いました。伊勢谷(友介)くんは、かなり昔に東京フィルメックスという映画祭で出会いました。ずっとファンでいてくれて、いつか一緒にできたらなと思っていました。玉城ティナちゃんは、沖縄出身の人を入れたくて。若すぎるかという心配もありましたけど、すごく堂々としていました。大杉漣さんという人はお会いしたことがないなあ(笑)。大杉さんがいろんな格好をするのはご褒美です。喜ぶだろうなあと思って。オラキオさんは昔ファンレターをもらったことがあるんです。弾丸ジャッキーというコンビ名も「弾丸ランナー」から取っているというのも聞いていたので、いつか出てもらおうと思っていました。キングオブコメディの今野(浩喜)さんもお笑いですけど、独特の怖さ、気持ち悪さを買いました。
──これから映画を観る人へメッセージをお願いします。
自分の集大成と言ってもいい作品だと思っています。しかも、2時間半はかかるはずの脚本を105分に収めているので、内容てんこ盛り。暴力描写は容赦なく、そしてやさしいシーンはとことんやさしく、というふうに撮りました。わかりやすくて展開が早い、絶対に飽きない映画になっていると思いますので、お楽しみください。
──最後に、今回の商品について一言どうぞ。
いやあ、絵コンテのどのカットを使うか、選ぶのに夢中になってしまいますね。すごく楽しんでやらせてもらいましたので、いい商品になると思います。