今回の対談ではコラボTシャツの制作秘話から感嘆符に対する熱いこだわりまで、お二人にたっぷりと語ってもらいました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
取材・文 / 望月哲 撮影 / 小原泰広
感じたことをそのままのテンションで伝えたい
宇川 佐保さんのTwitterがヤバいっていうのは、知り合いのコンバットRECくんのつぶやきで知ったんですよ。RECくんが「佐保明梨と宇川直宏。今年1年どちらが『!』の数が多いか誰か数えて。」って真顔でつぶやいてて(笑)。そこで、佐保さんのアカウントを見て衝撃を受け、30余年も感嘆符使いとして君臨している身としては、僕の正統な継承者が現れたと確信し、なのでそのようにつぶやかせていただきました!!(笑)
佐保 ありがとうございます! 私は宇川さんのつぶやきをファンの方から教えてもらったんですよ。「宇川直宏さんが佐保ちゃんのツイートに反応してるよ」って。それで宇川さんのTwitterを見たら、私のことを書いてくださっていてビックリしました。
宇川 そもそも佐保さんは、なぜあんなに尋常じゃない数の感嘆符を使うようになったんですか? 僕は原稿も書くので、たぶん紙メディア時代は、日本、いや、世界で、最も感嘆符を連打し続けてきた人物の1人であると自負しておりますが、1文字単位で、原稿料が発生する現場において、かつてエクスクラメーションの連打は、勇気のいる行為でした!!! 80年代末から徐々にグラデーションを付けるように増殖させていって、それがお家芸として定着するまでは“単なるバカ”だと思われ続けてきた節があります(笑)。
佐保 私が生まれる前にはそんな歴史があったんですね。
宇川 はい。そこから約10年かけて、ようやく業界にも“そういう芸風”だと認められ始めました。1990年代から2000年代初頭にかけて、「DUNE」という伝説のファッション誌があったのですが、原稿依頼してきた故・林文浩編集長から「宇川のテキストの原稿料って『!』も文字数に換算されてるの? もう俺が10枚(4000字)の原稿に苦しんでるのがバカらしくなってくる。あれ、発明だな」って連絡がきたことがあるくらいですから(笑)。
佐保 私は今年の4月からTwitterを始めたんですけど、いざ自分の気持ちをつぶやこうと思ったとき、普通に書くだけじゃなかなかテンションが伝わらないなと思って。それでビックリマークをいっぱい使ったらすごくしっくりきたんです!!!!!
宇川 なるほど。お会いして、生粋のエクスクラメーションの騎士であると一瞬でお見受けしました。僕らにとって「!」は、フォースのようなもんですからね(笑)。ジェダイの騎士やシスの暗黒卿が用いる超常的な能力の源と同じですから!!! “!エネルギー”の使い方には敏感になりますよね。あの乱射はやはりTwitterがきっかけだったんですね。
佐保 はい。ブログでも比較的ビックリマークをいっぱい使うほうだったんですけど、Twitterでは瞬間瞬間で感じたことをそのままのテンションで伝えたいなと思ったんです!!!!!
宇川 素晴らしい!! 感嘆符は1400年頃から使用されていて、ラテン語で喜びを表す間投詞ioの2文字を縦に重ねた合字であるとウィキに投稿されていました(笑)。そう考えると大変純粋な放射の仕方ですね。じゃあTwitterでつぶやくときは、基本的にいつも高まったテンション、そのエネルギーを捕まえて拡散していくという感じですか?
佐保 そうです。「あ!」って思ったとき、すぐにつぶやくようにしてます。時間が経つと、そのときの感覚を思い出せなくなっちゃうんで。
宇川 その高揚感を強調するために感嘆符を駆使して世に伝えようと思ったんですね。ヤバい!!!!! 例えば「傘が人混みに流されて消えていっちゃった〜〜〜〜〜〜!!」ってつぶやきがありましたけど、これはどういうシチュエーションだったんですか!?
佐保 満員電車の中です。傘を持って電車に乗ってたんですけど、ある駅で乗ってる人が一斉に降りたんですよ。そしたら傘が人混みにさらわれちゃって(笑)。
宇川 うわ!!!!!!! それを実況中継してたんですね。「傘ばいば〜〜い!!!」という頓着しない速やかなあきらめ、その執着のなさに悟りを感じます(笑)。
佐保 電車の中ですぐにつぶやきました。今、つぶやかなきゃテンションが薄れると思って。
Tシャツのコンセプトは2秒で決まった
宇川 僕は佐保さんのことをマジで正統な感嘆符使いの後継者だと思っていますが、2人の感嘆符の使い方には決定的に違うところがあって。僕は半角、彼女は全角のエクスクラメーションを常用しています。そこに込めてる感覚や感情はやはり微妙に違うなと思うんですよ。
──その違いって、どういうものなんでしょう?
宇川 感嘆符には強調と、もう1つ、路上のピクトグラムに表されるように、注意という意味合いもありますが、俺の場合は、どちらかというと後者のエネルギーが近い(笑)。それが暗黒面とは言いませんが、ちょっと、こけおどし的にビビらせる感覚っていうか。「うわ、これヤバい!!マジでヤバいわ!!」みたいな、1つの物事に対する驚きとか衝撃を圧倒的な密度で表現したいんです。なので強調と注意のミルフィーユというか(笑)。「!!!!!!!」を横にして眺めてみると、強調と注意を折り重ねて見えるんですね。そのハーモニーで感情を表現しているので、全角よりも半角の感嘆符を連打することで、層としての奥行きがあればあるほど感情が濃くなっていく。そんな重ね技(笑)。でも佐保さんの全角感嘆符の使い方には、もっとおおらかで天真爛漫な生き生きとした伸びやかさを感じる。「!!!!!!!」は、今、ここに生きていることに対してのイノセントな喜びや、世界への驚きをあるがままに表現してるように見えるし、そのためには奥ゆかしい字間のある全角の感嘆符を使うのがしっくりくるんだろうなって。心からピュアネスを感じました!!!!!!!!!!!!!!!!!
佐保 ありがとうございます。「楽しい!」って思ったときは、その「楽しい!」って感情をそのまま伝えたいなと思うんですけど、それをするためには全角のビックリマークがぴったりなんです。
宇川 そういえばTwitterを始めた日のつぶやきも、「なにこれ楽し〜〜〜〜〜〜〜〜!!」でしたよね(笑)。
佐保 はい。Twitterを始めたら、自分がつぶやいたことに、瞬時にバーッてたくさんの人が反応してくれて。「こんなに楽しいものがあったんだ!」って思ったんです!!!!!
宇川 本当に佐保さんのつぶやきはすごくフレッシュなんですよ。2つ目のつぶやきなのに、「〜」との重ね技が決まっていますね。ちなみに「〜」の俗称は「波ダッシュ」と言うらしいですよ(笑)。文字通り、重力をコントロールするサーファーのテイクオフ時のような多幸感を感じますね。そういう意味でも、ギャル文字以降の次世代の感嘆符使いだと心打たれ、マジで衝撃を受けました!!!!!
佐保 ありがとうございます(笑)。
宇川 だから今回Tシャツのオファーが来たときも「これは俺がやるしかないでしょ!!!!!!!」って思ったし。そりゃ、引き受けるしかないですよ(笑)。オビ=ワン・ケノービがルーク・スカイウォーカーに出会ったときの感情はたぶんこうだったに違いない(笑)。
──オファーしてすぐにお返事をいただけたことはもちろん、その時点ですでにデザインコンセプトが決まっていたことにもビックリしました。「佐保明梨×宇川直宏『100EXCLAMATIONS!』」ってタイトルも用意されていて。
宇川 コンセプトは2秒で決まりましたから。
佐保 えー、すごい!!!!!
宇川 感嘆符の歴史は先ほど説明したように、ラテン語の間投詞2文字の合字なのだし、ならば 「!」の丸の部分を佐保さんの顔にして、棒の部分は白いロングワンピースを着た佐保さんの体をさかさまにして、本人を「!」にしようと。そのアイデアは一瞬で閃きました。あと、何よりも僕らにとって最も重要なのは圧倒的な量なんですよ!!!!!!!!!!!!!!!!! 佐保さんが発信してる膨大な量の感嘆符をTシャツというメディアに落とし込むには、圧倒的な数をもって表現するしかないと思って。
──最初に宇川さんからいただいたデザインラフは前面に大きな佐保感嘆符が1個、背面に99個の佐保感嘆符がプリントされているというものでしたね。
宇川 そう。最初は1枚だけで100エクスクラメーションを表現しようと考えてたんですよ。でも、あがってきた写真を見たらどれも奔放に表情豊かで、これを背面に小さくプリントするのはもったいなすぎるんじゃないかと思って。だったらいっそのこと100枚作っちゃったほうが面白いし、空前絶後なスペクタクル感を「!」で表現できるかな、と。
──佐保さんは今回の企画を聞いたとき、どんな感想を持ちましたか?
佐保 とにかくビックリしました。まさか自分が思いのままに書いたつぶやきから、こうやってTシャツというものが100種類も生まれるとは思ってなかったです!!!!!
宇川 普通ありえないですよね。インクジェットの精度がここまで上がったから実現できたわけですものね。しかも、意識せずに毎日呟いてきた佐保さんの感情が、背中に100種類の呟きとしてTシャツにインクで焼き付いてる。さらには、その感情をつぶやいたであろう表情を1枚1枚僕がセレクトして、パスを抜き、本人がビックリマークの化身になったわけですからね(笑)。
佐保 すごい衝撃的です!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(笑)